【短】雪 と 同 じ よ う に 〜 降り積もる想い 〜
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「……っ、さ彩花?」
誰かに呼ばれて顔を上げると
この冬に不似合いな額に汗を浮かべて
驚いた顔をした綾斗がいた。
「ど、どうしたの!汗かいて…」
「…あ、その寝坊してしまって」
「走ってきたんだ?」
「ごめんな?」
「なんで謝るの?遅刻してないからセーフだよっ!」
「そおだなっ」
そう言って、大きな掌が私の頭を軽く撫でる。
急いで、私のために走ってくれたことと
久しぶりに綾斗が私に触れたことで
頬が緩んだのが分かった。
「ニヤニヤするなら置いていくぞっ」
そう言って私の左手を握った。
綾斗…。
大好き。
改めてそう思った。
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