とろける深紅~天使のハンコウ~
ここに来る前に、前任の警部から手紙をもらっていたのだ。
『ウルカに気をつけてくれ。
彼女は孤児だ。
見つかったときには、母親の遺体がつまったトランクの上に、ちょこんと可愛らしく乗っかっていた。
ちいさなトランクに収まるように遺体は・・・
亡くなったのは、彼女の責任ではない。
彼女、は、ただ、隠さなければいけなかっただけ。
アルフは一目で、彼女のことが分かったのだ。
アルフに植えつけられた、悪魔の卵。
彼女は今、それを、意識の下で暖めて、育てているのかもしれない。
いつか、突然、カラを脱ぎ捨て羽化するために
いや、今、そのときが来ているのかもしれない』