Kiss★恐怖症
「私がどう思ってキスしようと、キスじゃん」


「だーめ。そんなのキスの内に入んねーの」


すたすたと歩く直樹についていく私。


「カップルなんだから、ちゃんとしないとな」


なんていうけどね。


キスはキス。


キス以外の何ものでもない。


…所詮。


「所詮フリなんだから、そこは関係なくない?」


本来の目的は、キス恐怖症を治すこと。


フリは、私が好きでもない人は嫌っていったから。


ただそれだけなんだから。


それ以上の深い意味はない。


私がさっきの言葉を発した瞬間。


直樹の足が止まった。


私のほうを向いて。


「星蘭。フリ、フリ言い過ぎなんだよ」


直樹の顔が一瞬にして近づき。


そして。


――私の頬にキスをした。




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