Kiss★恐怖症
そして。


急いで駅まで捜しにいくが―…。


結局、見つからずに帰ってくるパターン。


重い足をもたもたと動かす。


いつも軽々しく上っていた坂が、やけに長くて急に見える。


「…はあ~…」


最近、ため息ばかりこぼれる。


兄貴や春樹が、俺にちょっかいをかけてくるが。


なんか言い返す気力もなくなってる。


………俺、今本当に情けない奴だ。


やっとの思いで家に着いた。


無言のまま、部屋へと直行。


そして。


ベッドに制服のまま、真っ正面から倒れ込む。


星蘭と話せない日々が。


こんなにつらいなんて―…。


星蘭にどっぷりハマっている証拠だ。


告白すれば。


なーんて、何回考えただろうか。


何十回も考えた。


でも、それでフラれたら?


キス恐怖症も治せなくなるし。


星蘭とも気まずくなる。


核心が。


何か核心的なものがあればな―…。


なんてのも、何回も考えてた。






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