Kiss★恐怖症
そんな星蘭だったが。


「…ねえ」


静かに口を開いた。


「なんて私に直接言わずに莉子に言ったの?」


「それは―…」


俺は言葉に詰まった。


だって。


"あいつらが星蘭のことを狙ってるから"


……なんてさすがに言えるわけがない。


そんな俺に追い打ちをかけるように。


「私に言えないような理由で、莉子を困らせないで」


「ごめん…」


「あー!!怒ったの久々なんだからね!もう怒るの疲れた!」


なんて怒る星蘭をまた可愛いと思ってしまう俺。


星蘭は俺のほうを向き。


「とりあえず。わざわざ莉子を巻き込むようなことはしないでね」


「分かった」


「はあ―…なんだろう…。直樹に久しぶりに会って、なんか安心しちゃった」


星蘭の顔が和らいでいく。


……俺、あんまり喋ってない。


ああ、これでいいのか、悪いのか。


これはもう。




―――完全に星蘭のペースだ。




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