Kiss★恐怖症
「…キスできない女って嫌?」


「え…?」


「あ、いや―…別に嫌なら嫌でいいんだよ!?」


返事に困る俺。


「ただ…」


星蘭の表情が曇る。


「ただ、理解してくれる人を待っているだけじゃダメなんだよね」


「星蘭…」


俺は、答えられなかった。


星蘭が、どう感じているのか。


このとき、分かってあげれなかったから。


「直樹が治すって言ってくれた時、びっくりしたけど―…嬉しかった」


少しだけ表情が和らいでいくのが見えた。


「政也に拒まれてから、ずっと一人で抱えてた悩みだったから」


あんなに好きだったのにね、と寂しげに話す。


星蘭の心の奥底にしまい込んだ闇を。


感じた気がした。





< 161 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop