Kiss★恐怖症
薄暗いため、男の顔が見えない。


ただ、私より背が高い男ということしかわからなかった。


犯人は低い声で、私の耳もとで話す。


「…君、かわいいね」


背筋がゾクっとする。


腕をどうにかしようと必死に動かしたが、私より大きい男に敵うはずもない。


「離してく…っん…」


そんな私の悲痛な声を遮り、無理矢理なキス。


しかも、舌を入れてこようとする。


歯を食いしばり、それは頑張って阻止をする。


身動きのとれない私は、何度もそんなキスに耐えなければならなかった。


まだ6時とはいえ、人通りの少ない道。


誰も助けになんかきてくれない。


「…ゃめっ…」


「キスぐらい減るもんじゃねえんだからさ」


またキス。


何分続いたのだろうか。


わからない。


男は、いつの間にかいなくなり、私はただトンネル内で崩れ落ちているだけだった。




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