Kiss★恐怖症
―――花火大会当日


待ち合わせ場所は、学校の最寄り駅。


俺は、星蘭を待っていた。


さすが花火大会。


もう駅から混雑して、人で溢れかえっていている。


「ちゃんと会えんのか…?」


なんて心配になるほど。


目を凝らして星蘭の姿を必死に捜すが、なかなか見つからない。


その時だった。


「直樹!」


そう呼ぶ声と、服の裾をを後ろに少し引っ張られた。


俺が振り返ると。


「やっと見つけた…人多すぎだよ」


そう文句を言う星蘭がいた。


浴衣姿に髪の毛をおだんごにして、花のかんざしを挿している。


「――…」


「直樹?」


俺の顔を覗き込む星蘭。


やばい―…。


星蘭が可愛すぎて、目見れないし喋れない。


俺は星蘭から顔を逸らす。


「い、行くぞ!」


速足で歩きはじめようとしたが星蘭に再び裾を掴まれた。


「ちょっと待って!下駄歩きにくいからもう少しゆっくり…」

「ごめん…」


あー何やってんだ。


久々に星蘭に会って嬉しい。


だから余計に緊張してんのかな。



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