Kiss★恐怖症
「じゃあ、そういうことだから部屋戻るわ」


もたれかかっていた体勢を戻し、部屋の外に出ようとした時。


「兄貴」


春樹に呼び止められ、俺は振り返った。


「俺、星蘭さんと兄貴のこと認めたわけじゃないから」


「…は?」


「だってまだ結婚するわけじゃないし、まだまだ奪えるじゃん」


にやりと怪しく笑った。


「なっ…結婚してないからって奪うな!絶対邪魔させねぇからな!」


「じゃあ、もし星蘭さんが俺を選んだらどうするの?」


「それは……む、無理矢理でも引き止めるんだよ!!じゃあな!さっさと勉強しろ!」


壊れるかと思うぐらいの勢いで部屋のドアを閉めた。


春樹の部屋には虚しくその大きな音が響きわたった。




< 280 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop