Kiss★恐怖症
「本当にうらやましい限りだよーっ!美男美女とか最高じゃん」


「そんなことないよー」


あるある~!、と何度縦に首を振る。


否定するけど。


そう言われるのが、ちょっぴり嬉しかったりもする。


「とりあえず、おめでとう!」


「えっ…」


「電話じゃなくて、ちゃんと言いたかったんだよーこういうことはっ」


笑顔で自分のことのように喜んでくれる莉子。


その温かさが伝わってくる。


「り、莉子ぉ~!」


「うわっ」


私は莉子抱き着いた。


私のほうが大きいから、余計にびっくりしているみたいだけれど。


「本当にありがとね、莉子」


「うん、ちゃんと幸せになってよ?」


「うん、なる」


"ありがとう"以上の何かを表すかのように。


ぎゅっとその小さい莉子を抱きしめた。


最初は秘密を隠していたけれど。


それを怒ることなく受け止めてくれた。


協力もたくさんしてくれた。


そして。


気持ちを直樹に言えたのは、莉子のおかげ。






本当に本当に。


――――ありがとう、莉子。



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