Kiss★恐怖症
ってかただの脅しじゃん、これ。


"脅したって意味ないんだから"


なんて言ってやりたいところなんだけど…。


生憎、そんな図太い神経は持ち合わせていない。


本当にバラされては困る!


ムカつく。


ムカつくけど、これは従うしかない。


私はくるっと後ろを向く。


「よ、用意できたから、早く帰りましょ!…な、なななな"直樹"」


…い、一応、精一杯頑張ってみたつもり。


なんだけど―…顔がひきつる。


自分が何を言ってるんだか…。


「ん。じゃあ、行くぞ」


また腕を…いや、今回は手を繋いで引っ張られる私。


「莉子!ごめんねーっ」


「いいよー!!また明日!!あと、2人とも仲良くねーっ」


ぴょんぴょん跳ねながら、笑顔で大きく手を振る。


そんな姿に、ちょっと癒されながら、私たちはA組から出ていった。



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