Kiss★恐怖症
ローファーのつま先を、こんこんと地面へ。


「星蘭、行くぞ」


ん、と手を差し出す。


私は手を出しそうになったが。


「別に繋がなくても、一緒に帰ればいいんでしょ」


直樹の横を通り過ぎる。


はあ―…なんか調子が狂う。


それに、神谷直樹の性格がまだ掴めない。


見た目は俺様っぽいけど、たまに優しい部分もあるみたいだし。


話して一日経ってないし、わからないの当たり前か。


「星蘭。なんか機嫌悪いなー」


後ろから聞こえてくる声。


「あんたが悪いんでしょーが」


「俺?キス恐怖症治してあげるって言ってんじゃん」


私は足を止め、神谷直樹を見る。


「だから、それが迷惑だって言ってんの」


なんで、わかんないかな。



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