Kiss★恐怖症
「素直じゃないねー、星蘭は」


また足を進める直樹。


それについていく私。


「でも、もう引き返えせないんじゃない?」


そういいながら、私のほうを振り返り、後ろ向きに歩く。


え、それってどういう意味…?


「だってさ。もう交際宣言しちゃったわけだし」


確かに。


「これで、何もなかったらただ付き合ってるだけだし」


確かに。


「すぐに別れても、さすがにおかしいし」


確かに。


「じゃあついでに、付き合ってる間に治しちゃえって感じで」


確…って、おい私!!


なんか洗脳されたよ、今。


「いや…でも…」


何故か、心が揺らぐ。


実は、治したって思ってたりするのかな、私。


いや…多分、今日初めて憎んで、初めて思ったことだ。


頑なにいらないって言ってたけど。


本当は、治したい自分のほうが今は勝ってるのかもしれない。


「星蘭?」


「ううん。何でもない」


どうこうしている内に、校門へ到着。


前に歩いてる直樹が、足を止めた。


「とりあえず…」



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