Kiss★恐怖症
― 直樹 side ―


星蘭がこちらを向いたような気がしたから、手を振った。


実際、見たのかは不明だが。


俺は、そのまま足を進めた。


星蘭が、キス恐怖症っつうのは驚いた。


いや、まずそんなのがあること自体に驚き。


でも。


それはあいつだったから。


あいつじゃなかったら、治してやるなんて言ってない。


まず第一に、わざわざキスを求めなんてしない。


俺は…。


――俺は白羽星蘭を入学した時から好きだった。


だから、治せるかわかんねー代物を治してやるなんて宣言した。


交際宣言もそう。


ミス聖南とミスター聖南になって。


星蘭からのキスが嬉しいと思ったやからの、まさかの偽キス。


そんな色々な偶然で、俺はやっと星蘭に近付けた。


クラスが全く違ってたせいで、話す機会が3年間1度もなかったからな。



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