Kiss★恐怖症
あのね…結構坂があってですね。


上がるだけでしんどいんじゃないかって―…。


「ちょっと待って…」


「ん?」


私は少し引きずられながら、足を無理矢理止めた。


「これ歩くの…?」


「そうだけ…ど???」


普通のことを聞かれ、ポカンとハテナを浮かべている。


普通の質問すぎて、確かにおかしいかもしれない。


ですが。


ですがですよ!


歩くのを躊躇う高さなんです、これは!


「…」


「あ!わかった。ちょっと待って」


そういいながら、鞄から携帯電話を出し、どこかに電話をした。


次は私の頭にハテナが、浮かぶ。


「とりあえず、歩いて」


「え、え―――っ!!」


また無理矢理引っ張られる。


やっぱり、歩くのか!


この道のりを!!


今は平面だけど、もうそこから坂がぁぁ―…。



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