Kiss★恐怖症
あ―――――っ!!


もうダメ!!


私は、スタっとすばやく立ち上がった。


「わ、わわ私、もう帰るね!!」


そういい、鞄を持ってドアを向かって歩く。


「え、あ、うん…じゃあ、車手配す「いい。風に当たりたいから歩いて帰る」


携帯で電話をしかけの直樹の言葉を遮り、私は振り向かず、スタスタと玄関を目指して足を進めていった。













―――――――…
―――――


「じゃ、じゃあまた明日な…」


「うん。また明日…」


少し気まずいまま、私たちはさよならをした。


また私は振り返らない。


別に怒ってるわけじゃない。


ただの照れ隠し。


風に当たりたいなら自転車で送って言われたけど、断った。


風が当たりたいなんて、口実にすぎない。


今、直樹といると自分が…自分の何かが――。


足どりが早くなる。



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