「好きになるはずなかったのに」
「どおりで気持ちよかった訳だ……」
ぼそっと言った自分の言葉が妙におかしくて、独り吹き出した。
病的だ。
何を言おう私は、今まで彼氏が出来た事は……あるが
操を守っている。
何故この年で、この風采と貞操を守っているか
それには理由がある。
私と同じ悩みのない人は絶対に“それ”をたいしたことないと笑うであろう。
もうこりごりなんだ。
露子は顔を洗いに行くなり、
洗面台に映り込む女を切なく睨んで
直ぐにそれを後悔したかのように
容赦ない凍てつく水を顔にうち付けた。