「好きになるはずなかったのに」

この日、外は生憎の灰色の空で

多くの人々はオレンジ色の温かいライトアップの飲食店に吸い込まれていた。

勿論、この店にも客足がふえてきて

アンティーク風なドアが開くたびにコロンコロンとベルが鳴り

あっという間に冬実は忙しくも愛想をふりまいていて

よくやるな……と微笑んだ。



今にも身を凍らす様な雨が降り落ちてきそうな模様ではあったが

12月間近で雰囲気は異様に温かいし


客達は口々に寒いと言っているが、その表情は豊かで

何とも温かい。



露子はハーブティーのカップを熱いながらも両手で包み込み

手で持ち上げられる程度になったところで、満足気に眼鏡を曇らせながら啜り始めた。





















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