「好きになるはずなかったのに」
「誘ったの。お茶しに来ませんかって」
「……冬実って積極的なんだなぁ。本当好きなんだ?」
「確かにいい男だと思ってるけど、そういう露の方が気になってるんじゃないの?」
冬実は探るような目で露子を見た。
冬実のこの観察眼は心憎い。
「私はそんなんじゃない。冬実がいい人って思う人が
私にとっていい人だとは限らないだろが。
そもそも、二言三言しか話もしてない人間に好感をもつのは
至難の業だね」
露子はため息混じりに吐き捨て、おかわりのワッフルを催促したが
持ってくる代わりにもう少し話を聞けとねじ寄られた。
「露は、一目惚れしたことないんだっけ?
私はあるなー…幼稚園のゆう……なんとか君と
はっきり覚えてるのは中学の時の転入生かな。
あとはねえ……」
「冬?あんたは一目惚れしかしないのか?」
露子はあきれて半白目になった。