「好きになるはずなかったのに」
円谷は唖然としながらも、紙に描かれた自分をよく見ようとして

それを手に取って鼻の頭につく位近づけたりもした。


「これは僕が頂いても……」

「えー!これはダメですよ!

 私、露の絵集めてるんですよ!

 きっと将来高値が付くし」

冬実はゲタゲタ笑いながら、円谷の手元から二次元の円谷を抜き取り

彼に詰め寄って、声をおとして言った。


「ここだけの話、露子は漫画家なの」

目を丸くした円谷に、冬実はにししと声を殺しながら笑った。


「え……!本当に?

 僕、友人でそんな凄い人いないよ?

 本当にそうなの?確かにヤバい上手いけど……」


どうも冬実は得意げに


「本当なんですって……


 まあ、今は少しスランプですけど」


と、最後はもごついた。



















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