「好きになるはずなかったのに」

露子と円谷が鉢合わせなかったのは本当に紙一重だった。


もし露子が階段を使わないで帰ったものなら、今頃自室のベットにコートとマフラーをうっちゃって、なかなか点火を終えないカンカンストーブの前で凍えてはいない。


冬実の旨いハーブティーで身体を温め、彼の前で顔を火照らせていただろう。



「……あの人苦手だ」


顎が震えたと同時、人型の残ったコートのポケットが唸った。


冬実からだ。


「はい……こちらストーブ前。寒い」


返事がなかなか返ってこない代わり、遠くから冬実の声がした。


「?もし?冬実??おい」


露子は眉根を吊り上げた。


『も……もしもし?あの』


露子の心胆は一気に凍った。

そして身体はそのスピードに負けじと熱くなった。















< 54 / 54 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

星に願う★僕と彼女の妊娠日記★
sugar*/著

総文字数/924

恋愛(実話)6ページ

表紙を見る
私に恋を教えてくれてありがとう【下】
sugar*/著

総文字数/130,412

恋愛(その他)355ページ

表紙を見る
私に恋を教えてくれてありがとう【上】
sugar*/著

総文字数/64,416

恋愛(その他)200ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop