【中編】夢幻華
「こんなところとは随分な言い方だな龍也。」

山崎オーナーが苦々しく笑うと龍也に嫌味を言った。

「ああ?そう言う意味じゃねぇってわかってんだろ?」

オーナーと龍也の話し振りからするとかなり親しい間柄のようだ。
龍也にこんな知人がいたなんて聞いたことなかったけどな?

元々余り知人とか友達とかがいないヤツだ。自分から人を拒絶しているんだからしょうがないが、その龍也がここまで気さくに話せる相手と言う事はかなり心を許している人だろう。

どういう間柄かすげェ気になったりするんだけど?

俺達に気をつかってか、夕食の準備が整ったら呼ぶからリビングでゆっくり話していなさいと言ってオーナーは席を外した。

俺達が改めて互いを見つめあい、はあ…と同時に盛大な溜息をついた。

「龍也…。信じらんねぇ、なんでこんな遠い所まで来て偶然お前に会うんだ?」
「そりゃこっちのセリフだよ。お前一人か?」

「…んな訳ねぇだろう?杏と一緒だよ。」

「「え?杏ちゃんと?」」


……なんでそこで二人で声をそろえて驚くかなあ?


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