【中編】夢幻華
「何だよ?何か言いたそうじゃねぇか?」

「すげぇ言いたいね。プレーボーイはもう卒業なのか?フェミニスト暁君」

「止めろよその言い方。別にフェミニストなんかじゃねぇよ。」

「ふふん、杏ちゃん以外の女は誰でも一緒だからな、お前にとっては。中途半端な優しさで適当にあしらっているうちに勘違いされて、好きでも無い女に付きまとわれていつの間にかプレイボーイだと思われているんだからなぁ?損なヤツだ。俺みたいにどうでもいい女は突き放せば良いのに。」

「…できるかよ。お前みたいな見ただけで殺しかねないような冷てぇ目で女を見るなんてさ。お前は極端すぎるんだよ。聖良ちゃんに見せるような優しい目で他の女に接している所見た事ねぇもん。」

「するかよ。そんなこと。アレは聖良限定なんだ。」

そう言って聖良ちゃんに視線を移す龍也の瞳からは『愛してますっ!』てオーラが出まくっている。

信じられないほど優しい表情で微笑む龍也の二面性に俺は思わず脱力してしまった。

こいつ…本当にあのクールビューティかよ?

完璧に恋する乙女ならぬ恋の奴隷だな。


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