【中編】夢幻華
相変わらずの溺れっぷりを見て、呆れていると、龍也がそれまでとはうって変わって冷たい目で俺を見た。

「…なんだよ、その変わり様は？もう少し親友にも聖良ちゃんの半分で良いから優しく出来ねぇのかよ？」

「充分すぎるくらいしてねぇか？」

「……お前なあ。まあいい。それより杏にそんな怖い顔すんなよ？」

「ハァ…しょうがねぇなあ。聖良にもさっき耳打ちされたし、できるだけニコニコしててやるよ。」

「サンキュ。でもまさかこんなところで会うとはね」

「一臣さんは俺の親父の親友だった人だからな。聖良とは何度も来ているんだよ。」

「へぇ…それで龍也がそんなに親しげなんだ。珍しいと思ってたんだ。実は山崎オーナーはうちの陽歌母さんの知り合いなんだよ。色んな縁ってあるもんだな」

「マジで？…ふうん。いろんなところで繋がっているもんだな、人ってさ」

「ああ…まるで何かに導かれているみたいで…不思議な感じだな」

杏が聖良ちゃんになにやら耳打ちして聖良ちゃんも頬を染めながら小声で話しているのを不思議な感覚で二人で見守っていた。


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表紙・目次

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