【中編】夢幻華
「あたしは神さまが暁の為に創って下さったの。」
その言葉に胸が打ち抜かれるような衝撃を受けた。
嬉しいなんて言葉じゃ足りない。
この気持ちを表す言葉なんてこの世に存在しないと思う。
「暁に愛されるために生まれてきたの。あなたを愛して生きていく為にこの世に生を受けたのよ。」
蒼母さん…
そして俺を命がけで産み落としてくれた母さん…
あなたたちに感謝するよ。
今ここに俺達がいるのはあなた達の深い愛情のおかげだ。
俺と杏を巡り逢わせてくれてありがとう。
いつの間にか杏は俺の鼓動を子守唄に、安心したように眠りについていった。
規則正しいその寝息に俺も次第に眠りに誘われていく。
隣りの部屋からの騒音はもう気にならなくなっていた。