【中編】夢幻華

「あたしは神さまが暁の為に創って下さったの。」

その言葉に胸が打ち抜かれるような衝撃を受けた。

嬉しいなんて言葉じゃ足りない。

この気持ちを表す言葉なんてこの世に存在しないと思う。

「暁に愛されるために生まれてきたの。あなたを愛して生きていく為にこの世に生を受けたのよ。」

蒼母さん…
そして俺を命がけで産み落としてくれた母さん…
あなたたちに感謝するよ。
今ここに俺達がいるのはあなた達の深い愛情のおかげだ。

俺と杏を巡り逢わせてくれてありがとう。

いつの間にか杏は俺の鼓動を子守唄に、安心したように眠りについていった。

規則正しいその寝息に俺も次第に眠りに誘われていく。

隣りの部屋からの騒音はもう気にならなくなっていた。


< 122 / 138 >

この作品をシェア

pagetop