【中編】夢幻華
右京父さんは怒りをそのまま凍結したような形相で固まっている。
あ~あ、世界が吹き飛んだような衝撃なんだろうなぁ。
イイオトコのはずなんだけどなあ?そんな顔したら台無しだぜ?右京父さん。

何か言いたいんだろうな。口をパクパクして…鯉みたいだ。

父さんが右京父さんの目のまえでヒラヒラと手を振って意識を確認しているがまったく反応がない。
ショックの余り意識がどっかへぶっ飛んでるよ。

大丈夫かな?帰ってくるんだろうか?ちょっと責任感じてしまうじゃん。ちゃんと帰ってきてくれよ?頼むぜ。


「パパ?聞いてる?」

杏が右京父さんの肩に触れた途端ビクッとしてようやく意識が戻ってきたようだ。

「さっ…暁!おまえぇっ…」
「暁~♪良かったわねっ。これであなたも正式に我が家の一員よ。」

右京父さんのセリフを奪うように蒼母さんが割って入って来た。

「うふふっ。暁が正式に私の息子になるのねっ♪嬉しいわ。右京良かったわね。杏をお嫁に出さなくてもいいのよ?暁がお婿さんになってくれるって言うんだもの。ね?」

「…ああ。右京父さんが許可してくれればね。」

一応気遣いながらも蒼母さんの勢いに押されて頷くと、父さんも陽歌母さんも納得済みという顔をしている事に気付く。

そう言えば俺、家を出てくるとき父さんに杏への気持ちと場合によっちゃ婿入り予約するって事は話してあったんだっけ。

考えてみれは俺の両親も蒼母さんも寛大だよなあ。


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