【中編】夢幻華
だいたい何だよ、その髪の色は。

・・・朝までは軽薄な茶色だったくせに…。

「ああ、この髪の色?たまにはいいでしょ?僕さあ地毛が茶色いから黒くしてみたかったんだよね。」

ニコニコと悪びれる様子もなく笑いながら杏に似合うだろ?と聞く晃に暁はついにキレた。

晃が暁の表情を読んで、暁が問うより先に髪の事を口にしたことが余計暁の感情に油を注いでしまったのだ。

「けっ、髪の事なんて俺は何にも聞いてねえよ。…っざけんな。どういうつもりだよ。すげー心配したんだぞ。」

そうだよ。だいたい父さんが杏を連れて祭りに行けって言ったんじゃなかったか?

こんなことするなら最初から自分が連れて行けばよかったんじゃないか。


その時不意に腕の中の杏が俺を見てぽろぽろと涙を流し始めた。


俺が怒鳴ったのが怖かったのか?


やっぱり俺より父さんが良かったのか??



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