【中編】夢幻華
杏の涙もいつの間にか止まり、俺と同じように父さんを見つめていた。
近くで俺を心配してみていたクラスメイトたちが駆け寄ってくる。
ああ、そういえばこいつら待機していたんだっけ。
ぼんやりと考えて、ハタと気づいた今の自分の状況
杏と抱き合うような形でいる自分の姿。こいつらはずっと見ていたんだ。
一気に顔が赤くなる。その様子を見ていた杏が俺の腕から離れようと身を捩り始めた。
俺を気遣って…?
杏が腕の中で動くたび、花の様な杏の香りが立ち上り安堵感が胸に広がる。
ばかだな、俺。
「いいんだよ、杏。俺の傍から離れるなよ。ずっと傍にいるんだぞ。」
俺は左手でぎゅっと杏の肩を抱き、引き寄せると、右手で響たちに手を振った。
響や龍也に驚いたように目を見開かれたけれど、誰もからかったり、冷やかしたりする奴はいなかった。
近くで俺を心配してみていたクラスメイトたちが駆け寄ってくる。
ああ、そういえばこいつら待機していたんだっけ。
ぼんやりと考えて、ハタと気づいた今の自分の状況
杏と抱き合うような形でいる自分の姿。こいつらはずっと見ていたんだ。
一気に顔が赤くなる。その様子を見ていた杏が俺の腕から離れようと身を捩り始めた。
俺を気遣って…?
杏が腕の中で動くたび、花の様な杏の香りが立ち上り安堵感が胸に広がる。
ばかだな、俺。
「いいんだよ、杏。俺の傍から離れるなよ。ずっと傍にいるんだぞ。」
俺は左手でぎゅっと杏の肩を抱き、引き寄せると、右手で響たちに手を振った。
響や龍也に驚いたように目を見開かれたけれど、誰もからかったり、冷やかしたりする奴はいなかった。