【中編】夢幻華
お前が生まれてきたそのときから俺はずっとお前を愛してきた。

ずっとお前は俺だけのものだと信じて疑わなかった

だけど…

お前の瞳に映るのは兄のような存在の俺でしかない

『暁のお嫁さんになる』

そう言った杏の瞳は恋する者のそれではなく、ただの子どもの憧れだ。

俺は本気でお前が大人になるのを待っているんだけどな


お前にとって俺はいつまでも従兄でしかないんだろうか

お前を諦めたくて何人もの女と付き合ったよ

お前を忘れるために何人もの女を抱いたよ


だけどだめなんだ


誰と付き合っても


誰を抱いても


お前と重ねてしまう




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