【中編】夢幻華
訝しげに眉を潜める響の様子を見て、俺がまだ二人の関係に気付いていない事になっていることを思い出した。
いつまで隠しておくつもりだったのか。ずっと親友の顔をして俺を笑っていたのか。

嫉妬は理性を崩壊寸前まで追い込み俺の精神を砕いていた。

「暁?お前何言ってんだよ。酔ってるのか?ああもう、しょうがねえなあ。」

そう言って響はいつもと同じようにカウンターに寄りかかると俺の左隣に座った。

「どういうつもりなんだよ響…。俺をバカにしてんのか?」

俺の言葉に訳が分からないと言った素振りで響がますます眉を潜めて渋い顔をする。

とぼけんなよ。

「俺が知らないとでも思ってたのかよ。杏のこと…。」

「ああ、暁も知っていたのか?そのことでお前に話したいことがあったんだよ。
今日杏ちゃんと会ってさ…。」

響の口から杏の名前が出た瞬間、俺の理性は崩壊した

自分でも何をしたのか覚えていない

気が付いたら響の胸倉を掴み殴りかかっていた。


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