【中編】夢幻華
「この大バカ野郎!!おまえの考えてる事当ててやろうか?大方、何かを偶然見たか聞いたかして勝手に勘違いしてるんだろ。俺が杏ちゃんと付き合ってると思ってやがんのか?
ふざけんな。馬鹿にするのもいいかげんにしろよ。」

響は吐き捨てるように言い、俺の胸倉を掴んでいた手を投げ捨てるように離した。

その勢いで数歩よろけてカウンターにぶつかる。鈍い痛みが僅かに俺を正気に戻した。

「親友の惚れた女に手を出すほど落ちぶれてはいねえよ。
女には不自由はしていないんだよ俺は。
そんなに彼女が好きなら、何で他に女なんか作ってるんだよ。
おまえがそんなだから杏ちゃんが泣いてるんだろう?何で気付かないんだ」

俺を睨みつけ冷たく言い放った響の言葉が胸をえぐった。


杏が泣いてる?


俺が…他の女と付き合っているから?


……まさか。



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