【中編】夢幻華
胸が熱い

苦しくて

切なくて

杏をこの手の中に閉じ込めたくなる。

だれにも渡したくない。


「杏ちゃんさ、今日同級生に告白されたんだってさ、月曜日には返事をしないといけないと言ってた。」

「告白…?」

「ああ、そいつから、生まれた年と同じ数16本の赤いバラの花束をもらってた。すげえ迫力だったぞ。美女に花束ってサ。高校生には、きつい出費だったろうに…マジなんだろうな。」

どんな奴か知らないが、あの花束を見れば杏を本気で思っているのはわかる。

「そう言えば、おまえがそんなに怒ってるとこ見ると、あの場面をどっかで見てたんだろ?」

響が思い出した様に俺を冷たい目で流し見る。


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