【中編】夢幻華
祭りの雑踏から少し離れた薄暗がり中

神社の境内の片隅で銀杏の木に力なく寄りかかり座り込む少年。

その様子を物陰から見つめている男がいた。

男は暁が今必死に探しているはずの少女の手を引いている。

杏は男を見て何か言いかけ暁に近寄ろうとしたが

男は杏を引き止め抱き上げると、耳元で何かを囁く。

一瞬ぱあっと杏の顔が輝き頷くのを確認した男は、薄く微笑むと、杏を抱いたまま夜店の雑踏の中へと消えていった。



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