【中編】夢幻華
『暁は右京にとっても息子みたいなものでしょう?それとも何処かの馬の骨さんに、大事な杏をあげちゃうの?』

げぇっ、冗談でもそんなこと言うのはやめてくれよ蒼母さん

『ううっ、それは嫌だけど…でも二人きりで泊まりはなあ?』

『何かあっても暁は責任取るって言ったんでしょう?お婿さんに来るって言ってから出て行ったんでしょう。お嫁に出さなくていいなら右京もうれしいんじゃないの?』

そうだそうだ。

『そっ…それは…。』

『それにね、杏はもう16才よ。ねえ? 右京が私を口説いたとき私は何歳だったか覚えてる?』

『……16……。』

おっ!そうだったのか?

『でしょう?杏だってもう大人なんだから、好きな人と結ばれればいいと思わない?』

さすが蒼母さん。いい事言うなあ。

『…………勝手にしろ。明日にはちゃんと責任持って帰せよ、暁。』

やった!

「わかってる。心配すんなよ。」

情けない声だね、右京父さん。ごめんな。
受話器の向こう側で蒼母さんがピースサインを出しているのが目に浮かぶ…。


サンキュ…蒼母さん


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