【中編】夢幻華
杏を連れて歩いた時間より更に人は増えていた。
後、30分もすれば花火大会が始まるのだから当たり前だが、どっからこんなに人が湧いて来るんだろうと思う。
花火大会の会場である河原の方向へ歩いていく群衆とは反対の方向へ、すれ違う人とぶつかりながら血相を変え走っていく俺たちを、怪訝な顔で見る大人たちを尻目に、ただ一箇所を目指して走る。
視線の先に親友の龍也が手を振っているのが飛び込んできた。
思わず辺りを見渡し杏の姿が無いか確認する。
龍也が視線であそこだと教えるように顎をしゃくった。
その動きを追って視線を彷徨わせると……
―――いた。
キャラクターすくいの露天の前で座り込んでいる見覚えのある大きな青いリボン。
白地に青色のアサガオの柄をあしらった浴衣を着た後姿は杏に間違いなかった。
後、30分もすれば花火大会が始まるのだから当たり前だが、どっからこんなに人が湧いて来るんだろうと思う。
花火大会の会場である河原の方向へ歩いていく群衆とは反対の方向へ、すれ違う人とぶつかりながら血相を変え走っていく俺たちを、怪訝な顔で見る大人たちを尻目に、ただ一箇所を目指して走る。
視線の先に親友の龍也が手を振っているのが飛び込んできた。
思わず辺りを見渡し杏の姿が無いか確認する。
龍也が視線であそこだと教えるように顎をしゃくった。
その動きを追って視線を彷徨わせると……
―――いた。
キャラクターすくいの露天の前で座り込んでいる見覚えのある大きな青いリボン。
白地に青色のアサガオの柄をあしらった浴衣を着た後姿は杏に間違いなかった。