【中編】夢幻華
「後30分くらいでお食事にしてもいいかしら?もう一組のカップルもそろそろ着くって電話があったんですけど?私たちの友達でね一緒に食事をしようと思っているの。良かったらご一緒しません?」

食事の時間を案内に来てくれたオーナー夫人の話によると、このペンションの客室は5室。

今日の宿泊は俺達と、俺と同じくらいの年代のオーナーの友人だと言うカップルだけだそうだ。

もう一組のカップルも食事の時間に間に合うように来る筈だと言う事で、俺達は先にダイニングへ降りることにした。
旅先で知り合いを作るのもまた楽しいだろうと、食事の同席もお願いすることにした。

杏を伴って階段を降りていると、階下から誰かがオーナーと話す声が聞こえてきた。

「こんにちは一臣さん。信子さん。お久しぶりです。」

彼女らしい愛想の良い声。


誰かと似ている気がしたのは気のせいだろうか?



< 99 / 138 >

この作品をシェア

pagetop