The ring is a cupid
またもやボーっとしていると、今度は朋ちゃんに驚かされた。


「あれれ?眠っている王子もカッコいいですか?」


そう言いながら、ほっぺをつついてくる彼女、河野 朋美(かわの ともみ)。通称朋ちゃん。


「び、ビックリさせないでよ」


「だって詩音ったら斉藤君に釘付けなんだもん」


朋ちゃんも私が斉藤くんの事を好きなのを知っている。


「ねえ、帰りに寄りたい所あるんだけど付き合ってくれる?」


「良いよ。理沙は?」

「今日は無理だって。塾だよ」

朋ちゃんは、あー!と思いだしたように口を開けた。


理沙は成績優秀だ。


塾には休まず通うし、授業も真面目に聞く。

私も見習うべきだな…うん。



帰りのHRを適当に聞いて、放課後になって私は朋ちゃんの席へと走る。


「行こ」

ご機嫌に言う。


朋ちゃんは、少し笑って席を立った。


2人で仲良く廊下を歩く。


「ところでさ、何処行くわけ?」


「文房具屋さん。赤とピンクのペンが欲しいんだー。
最近さ、可愛い文房具屋さんが駅近くにできててさ」


前々から行きたいと思っていたのだ。

外観からして可愛らしい文房具屋さん。

少し覗いたことがある。

たくさんの文房具に囲まれて女の子達が、どれにしようかと迷いながら笑っているのが
忘れられない。


「知ってるよ。私も行きたいと思ってた」


そう言ってニッと笑った朋ちゃんを見ていると、いつの間にか靴箱まで来ていた。

靴を履いてから、一瞬外へ出るのにためらう。


校舎内に入ってきた冷風に体が縮こまったからだ。


「結構寒いねー…」

すると朋ちゃんは、明日からはマフラーが要るね、と言った。


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