The ring is a cupid
「これは、“The fate perma”。もう片方は“nently with you”と書いてあるの。

繋げると、The fate permanently with you。貴方と運命を永久に、っていう意味なのよ」


お姉さんがにこりと笑って続ける。

「それをデザインした男性には婚約者が居てね、病気だったの。それはとても重かった。

余命は短くて、長くは生きられないと知った時彼は彼女の為に指輪を作ったんですって。

ネックレスの様に首にかけられるひもにその作った指輪を2つ通して、彼女にプレゼントしたの。でもね、彼女はそのひもを引きちぎった。何故だか分かる?」


突然の展開に驚く。

気に入らなかったから?

自分の人生に絶望していたから?

いや、違うんじゃないかな…


「彼にも…指輪を持っていてほしかったんじゃないのかな…」


その男性は、あえて自分の分の指輪も彼女に身に着けさせたんだと思う。

「気持ちがいつも傍にあるように、想いをその指輪に込めて最初は自分の分に作っていた指輪も、彼女の指輪と共にネックレスにした。だけどね、彼女は想いを供用していたかった。彼の中に自分を示す物が欲しかったのかもしれないわ。

貴女の言うとおりよ」


お姉さんは言いながら、私に袋を渡した。


「そして彼女はね、彼の指にそのひもからはずれた指輪をつけたの。
ずっと一緒だよ、って」


しんみりした様な雰囲気を打ち消すように、お姉さんはパンッと手を叩いた。


「大切な事を言い忘れてたわ。こんなストーリーがあって作られた指輪だから、話の中の2人みたいに愛を誓う時、ひもを引きちぎってそれぞれ薬指に指輪をはめると、幸せになれるって言われてるの。

結構効き目あるらしいよ」


幸せになれる…。

おまじないにはありきたりな言葉だ。

いつもだったら、信じがたいと興味もない。

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