The ring is a cupid
だけど、何だか指輪から目をそらせなかった。
引きこまれるような、そんな感覚を感じた後に、私はその指輪がぶら下がっているひもを掴んだ。
「これ下さい」
買わなきゃいけない気がした。
このままお店を出たら後悔する気がした。
「分かりました。2500円になります」
さらにもう一つ袋を用意して、指輪を入れてくれたお姉さんに小さく有難うございます、と言う。
「届くと良いわね、貴女の想い」
何で分かったんだろうと驚くと同時に、顔が熱くなった。
「は…はいっ!!」
逃げるようにお店を出ると、外は大分暗くなっていた。
*
その朝、事件は起きたのだ。
指輪のネックレスを首にかけて数日。
斉藤くんは何故だか困った顔をしていた。
友達が声をかける。
「弘希、どした?」
「んー?今日さ、読む本無いんだよね…」
ああ、朝読書の本が無いんだ。
うちの学校では、朝の30分読書の時間がある。
本が無いと、見回りの先生に怒られるのだ。
それがかなり面倒だ。
斉藤くん、どうするんだろう。
その姿を目で追っていると、こちらに近づいてきた。
最初は、気にせず見つめていたけれど、段々と緊張してきた。
もう今は、真ん前まで来ている。
「どれか貸して下さい!」
そう言われてハッとした。
今日は、たまたま本を3冊持っていたのだ。
そしてその3冊は机の上に並べられていた。
「あ…うん。どれが良いかな?」
「じゃあー…これっ。ありがとね」
ドキンッと心臓が跳ねた。
無論、朝読書の時間集中出来ずだったけれど。
引きこまれるような、そんな感覚を感じた後に、私はその指輪がぶら下がっているひもを掴んだ。
「これ下さい」
買わなきゃいけない気がした。
このままお店を出たら後悔する気がした。
「分かりました。2500円になります」
さらにもう一つ袋を用意して、指輪を入れてくれたお姉さんに小さく有難うございます、と言う。
「届くと良いわね、貴女の想い」
何で分かったんだろうと驚くと同時に、顔が熱くなった。
「は…はいっ!!」
逃げるようにお店を出ると、外は大分暗くなっていた。
*
その朝、事件は起きたのだ。
指輪のネックレスを首にかけて数日。
斉藤くんは何故だか困った顔をしていた。
友達が声をかける。
「弘希、どした?」
「んー?今日さ、読む本無いんだよね…」
ああ、朝読書の本が無いんだ。
うちの学校では、朝の30分読書の時間がある。
本が無いと、見回りの先生に怒られるのだ。
それがかなり面倒だ。
斉藤くん、どうするんだろう。
その姿を目で追っていると、こちらに近づいてきた。
最初は、気にせず見つめていたけれど、段々と緊張してきた。
もう今は、真ん前まで来ている。
「どれか貸して下さい!」
そう言われてハッとした。
今日は、たまたま本を3冊持っていたのだ。
そしてその3冊は机の上に並べられていた。
「あ…うん。どれが良いかな?」
「じゃあー…これっ。ありがとね」
ドキンッと心臓が跳ねた。
無論、朝読書の時間集中出来ずだったけれど。