The ring is a cupid
朝読書が終わると、大切そうに両手に持った本を、
「ありがと」
と返してくれた。
そっと指輪に触れる。
結構効果あるな…なんて思ったり。
にまにましていると、授業開始のチャイムが鳴った。
案の定。
「何ニヤついてんの?きもいぞ」
野山にバカにされたんだけど。
「失礼なっ!…まー、今日は許す」
機嫌が良いから、そう言ったのに、野山は更に顔を歪ませて私を見た。
「おい、何かおかしくないか?心広すぎっていうか…
良いことあったの?」
それって、いつもは心狭いって言ってるのと同じだよね。
一瞬小突いてやろうと思ったけれど、“良いこと”というワードに、すぐに顔がにやけた。
「まあね。野山には教えてやらないけど」
「なんだよ~!つまんないの」
やわらかそうな頬が、ぷくっと膨れる。
童顔の野山は、まるで幼稚園児のような表情だ。
黙っていれば可愛いのに。
何とも残念な気持ちで私は野山を見つめた。
*
「詩音はさ、告白とか考えてないの?」
飲んでいた紅茶を吹き出しそうになって、慌てて飲みこんだら咳き込んでしまった。
「ごほっ…な、何急に?」
購買部で買ってきた、サンドイッチと紅茶を食べていた時、朋ちゃんが急に私に問いかけた。
「考えてないっていうか、する気ないっていうか」
深くを望んでいるわけではない。
両想いになりたくないわけじゃない。
手を繋いで歩いたり、知らない面も知れたり。
彼女になれたなら、どれだけ幸せだろうとも思う。
けれど、勇気も自信もない私に告白なんて出来るわけがない。
本心は、傷つきたくないだけなんだろう。
「それで良いのかなー、って思っただけ」
ごちそうさまでした、そう言って朋ちゃんは席をたった。
このままで良いのか…分からない、ダメなのかもしれない。
「ありがと」
と返してくれた。
そっと指輪に触れる。
結構効果あるな…なんて思ったり。
にまにましていると、授業開始のチャイムが鳴った。
案の定。
「何ニヤついてんの?きもいぞ」
野山にバカにされたんだけど。
「失礼なっ!…まー、今日は許す」
機嫌が良いから、そう言ったのに、野山は更に顔を歪ませて私を見た。
「おい、何かおかしくないか?心広すぎっていうか…
良いことあったの?」
それって、いつもは心狭いって言ってるのと同じだよね。
一瞬小突いてやろうと思ったけれど、“良いこと”というワードに、すぐに顔がにやけた。
「まあね。野山には教えてやらないけど」
「なんだよ~!つまんないの」
やわらかそうな頬が、ぷくっと膨れる。
童顔の野山は、まるで幼稚園児のような表情だ。
黙っていれば可愛いのに。
何とも残念な気持ちで私は野山を見つめた。
*
「詩音はさ、告白とか考えてないの?」
飲んでいた紅茶を吹き出しそうになって、慌てて飲みこんだら咳き込んでしまった。
「ごほっ…な、何急に?」
購買部で買ってきた、サンドイッチと紅茶を食べていた時、朋ちゃんが急に私に問いかけた。
「考えてないっていうか、する気ないっていうか」
深くを望んでいるわけではない。
両想いになりたくないわけじゃない。
手を繋いで歩いたり、知らない面も知れたり。
彼女になれたなら、どれだけ幸せだろうとも思う。
けれど、勇気も自信もない私に告白なんて出来るわけがない。
本心は、傷つきたくないだけなんだろう。
「それで良いのかなー、って思っただけ」
ごちそうさまでした、そう言って朋ちゃんは席をたった。
このままで良いのか…分からない、ダメなのかもしれない。