JUNKETU ~首筋にkissの花~
放課後になり、帰り仕度をしているとまたミツが俺に絡み付いてきた。
「ハァルゥ♪どっか寄ってく?寄ってくよねぇ♪」
キャッキャッと見るからにハイテンションなミツの頭の中は既にベッドの中らしい。
肉食女子ってか?
さて、今日はどうするか…
夜はショクジの手配があるので出来れば一眠りしていたいのだが、ミツにはその気はないらしい。
「ミツさぁ?」
「…市丸、ちょっとイイ?」
少し低い声の男子がジュンを呼んでいる声に会話が止まる。
「ハル?」
「…………」
「ハルっ!ちょっと」
グイグイと引かれる腕にミツを見れば不機嫌な顔がソコにあった。
「何?」
「何じゃなーい!ミツが誘ってるのに完全に無視しちゃって、なんなのよ!何?市丸さんがそんなに気になるの?」
「…ぁ、イヤ…」
気になる。
気になって仕方ない。
ミツと言い合う間にジュンは何処かに連れていかれてしまったらしい。
「ミツ、悪い!!!」
なんとかミツを引き剥がして廊下に出てみるけど、二人の姿はもうなくて、とりあえず階段を上り
そして下る。
冬眠中の熊みたいに中庭をうろうろしていると、項垂れた様子の男子生徒の背中を見つけた。
ソレを見ないふりして、職員室の方へ歩いていくと
「校内案内ですか?」
「そう!是非ともお願いしたいのですか」
アルに捕まっているジュンを見つけた。
「いちまる!」
「あ、ハル君」
片手をアルに捕まえられたままジュンは俺に反対の手を振っている。
「お前なにしてんだよ?」
「アル先生が校内を案内して欲しいって、でもあたし夕飯の買い出しとかあるし…」
「では、彼にお願いします」
「はぁ!俺?」
「ハイ、是非とも」
ユラユラの緩い波を描く黒髪の間から金色の目が俺を映していた