JUNKETU ~首筋にkissの花~
「ん~、血を求めるってのは俺らみたいにショクジとしてばかりじゃないんだよ。血は血族も表すだろ?つまり種の保存、繁栄。だから狙われるのは血と身体。それから、魂を狙う種族もあるね。ぁ、人狼族とかは文字通りに食事しちゃうかもなぁ…」
「人狼…」
「あ、そうそう!今日ジュンからした匂いは人狼族のに似てたかも」
アルのキスがフラッシュバックして、フルフルと頭を振った。
「まっ、暫くは大丈夫だよ。今のマーキングで当分の間はジュンの匂いを誤魔化せるだろ」
「マーキングねぇ…」
「そっ!お前も感じただろ?俺の気配」
うわっ…
どうやら学校でのショクジがバレていたらしい
「ハルは単純馬鹿だからな」
「単っ!どっちがっ!」
「あはは!まぁイイや。俺は会社行くからジュン頼むな?」
ポンッと俺の肩を叩いてからオヤジはリビングを出ていく。
ジュン、ほっとくのかよ…
小さく溜め息を吐いてからまだ目覚めないジュンを抱えあげて、二階へ連れていこうと歩き出す。
数歩進んだ所で耳にすっかり馴染んだ音がその歩みを止めた。
携帯の着信音は数回鳴って途切れ、また鳴るを数回繰り返す。
「…トウ、……ハル、君?」
「悪ぃ、起こしたか…」
薄く目を開けて、オヤジの名前を呼ぼうとしたジュンはソレを訂正してから、小さく「大丈夫」と付け足した。
「そっか、部屋に運んでやるから寝てろよ」
「ぇ、自分で歩けるよ」
「イイって、このまま寝てろよ」
ゆらゆらと身体を揺すられて気持ちが良かったのか、小さく頷いたジュンはそのまま意識を手放したらしい。
寝室のベッドに横にするとスースーと寝息を発てて眠りだした。
寝室にはベッドが2つあって、オヤジとジュンは別々に眠っている事を教えてくれた。
真ん中に置かれたサイドテーブルには写真立てにはお袋とオヤジの並んだ写真が飾られている。
二人は幸せそうな笑顔で俺を見ていた―――