JUNKETU ~首筋にkissの花~
1
「おっはよう、朝ですよ!」
シャッとカーテンを開けられて、いつもの声が俺の鼓膜をいつもの挨拶で揺らす。朝の冷たい空気が肺の中を満たし、少し苦しくなって軽い咳が出た。
俺は掛け布団を抱えるみたいにして恰もダンゴムシの様に身体を丸めてソレを遮断する。
黒い遮光カーテンは一纏めされてその働きを遮られ、忌々しい程に部屋が太陽光に照らされた。
「ハル君、起きて!ほら朝御飯のホットサンドが冷めちゃうよ!」
ユサユサと身体を揺すられピキピキと歪む顔を布団から少しだけ出すと、いつもの顔が逆光でかなり眩しい。
見飽きた顔は俺が自分を視界に止めたのを確認するとニコリと口元を歪ませた。
「昨夜も遅かったんだ!もうっ、そんなんだと卒業出来なくなっちゃうんだからね」
「うるせぇなぁ」
「お母さんにウルサイとはなんですか!」
「認めねぇっつーの、ってかマジうるせぇ」
「ちょ、ハル君!」
うるさいヤツを一瞥してまた布団に顔を埋めると今度はペシペシと背中を叩かれる。
「うるさい、うざい、でてけ」
「なっっ!」
3つの単語を呟いてドアを指先で示すとプゥッと頬を膨らませたソイツはとぼとぼと部屋を出ていった。
人の部屋に無防備入ってくんなっつーの!
チッと舌打ちをしてから、まだ気だるい身体を起こした。
ノックも無しにずかずか入ってきてカーテンを開け、窓も開けて、挙げ句俺を起こす。
短いスカートを靡かせて…
今日はピンク…
ってちがーうっ!!!
視界の端に飛び込んできたアノ光景がフラッシュバックしてきてフルフルと頭を振ると、酸素不足の頭がクラクラした。
ベッドの高さはアイツのスカート丈の少し下で、少しでもスカートが靡けば中が見える事をアイツは知っているのだろうか…
って俺は変態かっ!