JUNKETU ~首筋にkissの花~

トリックが分かれば後は簡単だった。


コイツに二度と触れなければいい、それだけの事。



「じゃーな…」


「ハル…次はいつ…」


「は?次なんかないよ、コレでオシマイです」



涙で目元を潤ます女をそのままで俺はもう来る事のない場所から立ち去った。



代わりの保存食は幾らでもいるし、特に執着する相手でもなかったし…



別に裏切られたとか、ショックだとかは感じなかった…ただ、気分が悪いだけ。



なんとも言えないあの味を思い出してまた吐き気があがってきた。



熱くて苦い薬の様な…
冷たくて痛い程に甘いドロドロとした液体というよりも、個体に近い何か


毒なのだろうか…




空は薄い紫の帯を引きながら、小さな光を纏っている。


もう少しで夜明けらしい



ジュンはあのまま寝ていてくれているだろうか…

今更ながらに独りにしてきた事に罪悪感を感じてしまい、呆れた自分に笑いが込み上げてくる。



ふと目に入ったコンビニの灯りにフラフラと足を運んで中を物色した。



夜明けのコンビニは品薄で、まだ少し備品やら段ボールやらが置かれている。

やたらデカイ黒猫のぬいぐるみがその存在を主張していて、黒猫の横には『ラブ引き』とポップが飾ってある。


黒い羽の生えた黒猫と白い羽の生えた白猫が仲良さげに描いてあるマグカップやバスタオルなんかが景品らしい。


コレって確かジュンの携帯のストラップにぶら下がってたよなぁ…


薄いピンクの携帯にちょこんとぶら下がった猫が二匹、ジュンの耳元で揺れていた気がする…



コレだけ買うのもなんだか恥ずかしいので手当たり次第にカゴにスウィーツやら御菓子やらを入れて、くじの引き換え券を入れた。



『ラブ引き』なんてまがまがしい名前のくじは一枚のハートの片割れ違う箱から各々引きアルファベットと数字の組み合わせで景品が決まるという代物で、
ハートを真ん中から割るというのがいまいち理解出来ないが


俺が引き当てたのは……


――――最悪かもしれない
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