JUNKETU ~首筋にkissの花~
あれからどうにも寝付けず仕方なしに階下のリビングに足を運ぶと
「ハル、おはよう」
「ぁ、オヤジ…」
長い足を組んでカップに口付けながら新聞を見ている姿があった。
新聞から俺に視線を上げて
「お前も飲むか?」
自分のカップを示す。
中には紅色をした液体がユラユラと揺れていた。
昨夜口にしたアレを連想させて、一瞬身体中が高揚した。
「いらねぇ、俺はコーヒーがイイ」
「そうか?美味いのに、ブラッドオレンジジュース」
「なにか?アンタはジュースをコーヒーカップで飲むのかよ」
「ん?いや、出すの面倒だったんだよ、ジュンは行っちゃったし」
さも気にしていない様にまたコーヒーカップを口に運ぶオヤジを見ながら俺はコーヒーメーカーからコーヒーをカップに移した。
テーブルには綺麗にラップがかけられたホットサンドと今日の昼飯の入った弁当が置かれている。
アイツが準備したモノだ。
ホットサンドを口に運びながらオヤジを見ればまた新聞を見ている。
「ハル、昨日も遅かったのか?」
「なんだよ、オヤジがそんな事言うの珍しいな」
「…ジュンが心配してたからサ」
別に俺は心配してないよ、とオヤジは着けたしてからカップの中身を飲み干した。
「さてと、俺はもう一眠りしてくるかな」
「はぁ!会社は?」
「会社員の特権。今日は夕方からだから」
いいだろと言わんばかりの顔で俺を一瞥してから
「まぁ、夜歩きも程々にしとけな?」
ニヤリと笑って寝室に向かうオヤジに舌打ちして、俺は手元のホットサンドを口に押し込み、行きたくもない学校へ行く準備をした。