JUNKETU ~首筋にkissの花~
「お茶でも飲みながら話しましょう」


「俺を呼び出したのはアンタかよ?」


「そうです。いろいろ話したい事があったので呼び出して貰いました。こうでもしなければ私と話してくれないでしょう?」


「いろいろねぇ…」



連れてこられたのは視聴覚横の資料室で、アルはこの部屋を自分の控え室として与えられているらしい。





「砂糖とミルクは?」


「いらねぇ。話しがあるなら話せよ!俺も暇じゃねぇし」


「そうですか?」



目の前に置かれた赤いカップからは湯気がたっていて甘い花みたいな薫りがする。



「毒とか入ってないですよ?」


「んな心配してねぇ」


「そうですか?どうぞ、母国から届いた茶葉でいれたお茶です」



特に喉が乾いていたワケじゃないが、飲まないと話しに移らない感じだ。

アルはまだ香りを楽しんでる様だし、



カップをもってお茶をふくむと鼻に爽やか香りが抜けていった。



「そうですねぇ…。何から話しましょうか…」



窓から外を眺めながらアルはフーフーとカップの中の液体を吹いた。

その様が妙に可笑しい。




「アル、猫舌?」


「猫…じゃありませんが、熱いのは苦手ですね」



困った顔をしながらアルがコクリと一口紅茶をふくんだのを確認して、俺もカップに口をつけた。



「うまっ」


「でしょう?香りが高いのでストレートが美味しいですね」



しばらく二人して黙ってお茶を啜っていた。


静かな空間にコトンとカップを机に置く音がした時、アルは沈黙を破った。




「血族交配って知ってますか?」


「血族…交配?何ソレ?」


「皇族や貴族が強く血を残す為に同じ血を持つ家族や親族で婚姻を結ぶアレです。私はそうして生まれ、ソレを繋がなくてはなあないモノです」


「ソレって何か俺と関係あるの?」


「ハルは勘違いしているでしょう?私はハルに嫌われたくないんです」
< 30 / 45 >

この作品をシェア

pagetop