JUNKETU ~首筋にkissの花~
「ねぇ、ハル!市丸さんといつから仲良くなったの?」
「はぁ?」
「ってか、どんな関係!」
今にも泣きそうな顔で叫ぶミツの手の中には黒く四角いプラスチックが強く握られている。
「ソレ…」
「ごめん。中見た」
確かに胸ポケットに入れておいたはずの携帯がソコにある。
「お前っ」
「だって!ハルが悪いんだよ!!」
ズイッと鼻先に翳された携帯のディスプレイにはジュンからのメールが表示されていた。
《今朝はいろいろお世話になりました お陰様で大分回復してきたみたい 今日はゆっくりさせてもらいます お弁当ごめんね 今日のお夕飯は何にしよう? リクエストありますか? ジュン》
可愛らしくデコられたメールはまだ見た事のないもので
「ミツ!」
「お弁当って?お夕飯って?どーゆー事なの?」
ポロポロと涙が溢れ出して今にも叫びそうなミツの腕を掴んで、昨日ジュンを押し込んだ空き教室に連れてきた。
乱暴に腕を投げ出す様に放すと
「ハル、痛い…」
「何のつもり?何、人の携帯勝手に見てんの?」
「だって…」
投げ出された勢いでミツは床に手を着く様にしゃがみこんだ姿勢で俺を見上げている。
「ハルはミツの事、どう思ってるの?」
「どうって…」
「ミツはハルが好き、ソレはハルだって知ってるでしょ?」
「ソレは…」
知っていた。
知っていたからこそ、ミツと関係を持ったわけだし、不特定多数にショクジをするよりも確実にショクジをする事が出来る。
しかも…自分好みの味で
「俺はミツを―――」
ミツの求める言葉を俺は知っている。
《好き》だとか《愛してる》だとか、そんな甘い言葉を俺が言えばミツは満足して
また俺に身体と心を差し出すだろう―
「ハルはミツが好き…じゃないでしょ?」
「そんな事は…」