JUNKETU ~首筋にkissの花~

「行っちゃったねぇ…」



オヤジの乗ったタクシーが小さくなるのを眺めながらジュンが小さく呟いた。


オヤジはクソババアの言い付けを忠実に守り、一族の会議とやらに出掛けていった。



「…寂しいか?」


ジュンの横顔を眺めながら尋ねると「別に」と返して俯いた。


本当は寂しいくせに――



「意地っ張り」


「なっ、違うもん!」



からかう様に言ってやれば頬を赤くしながら勢いよく顔を上げた。



「暫く二人だから―」


そうだ、
自分で言って気付くなんて



「……なんてゆーか」


「ん?」



ジュンは気が付いてるんだろうか…

暫く外出もせずに(監禁に近い状態)でずっと俺と二人きりで過ごす事とか


まぁ、考えないだろうな…


「なんでもない」


「へ?…ぁ、うん」



よく分からないといった顔で俺を見てから、小首を傾げたあと、ジュンはそっと俺に自分の手を差し出して、それから指を絡めるように握った。



…!


「ジュン…」


「暫く二人きりだね。楽しく過ごそうね?」



ニコッと笑って繋いだ手をグイッと引っ張られた俺はバランスを崩してそのままジュンに飛び付く形になる。



「ぁ…ごめん!あたしってば…」


「だ、大丈夫だから…」



慌てて放された手がやけに冷たい。


俺はその手を伸ばしてジュンの手を採った。



「腹減った、夕飯ナニ?」

「ぁ、と…今日はハンバーググラタン」


「ソレってもしかして」


「昨日のハンバーグです…すいません。ぁ、でもサラダとスープはちゃんと作ったんだから!」



知らないヤツが聞けばまるで新婚みたいな会話をしながらウチに入り、食卓につく。


よく考えたら、



「こんな風にちゃんと向かい合って飯食うの初めてじゃね?」


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