JUNKETU ~首筋にkissの花~
自分の感情をどう処理していいか解らない。
嫌われたくないとか、相手の気持ちを大事にしたいとか、
そんな事考えた事はなかった気がする。
特定の《女》なんて、束縛してきてウザイだけだし、ショクジする為の生き物でしかったハズだった。
なのに――――
あぁぁぁ!!!
飯に集中できねぇ!
さっきから一口も進まない夕飯はすっかり冷めてしまった。
薄く膜の張った野菜のゴロゴロしたスープをスプーンで掬ってみたけど、どうにも口に運ぶ気になれず、皿の中にスプーンを投げ入れてしまう。
「はぁ…、なんなんだよ」
「もしかして不味かった?」
「え、ジュン?…ぇっと」
「何焦ってんの?変なの!」
いつの間にか戻ってきたジュンはケラケラと笑って、パジャマ姿で食卓についた。
髪からはまだ雫が滴ってやけに艶めかしい。
「溜め息までついちゃって、嫌いなモノでもあった?」
「いや、違うんだけど」
「じゃ、何か悩み事?あたしで良ければ聞くよ?」
「…それは…」
その悩みがジュンなのだとは言えずに首を左右に振ってから「なんでもない」と告げるとジュンは「そっか」と言ってミニトマトを口に運んでいた。
まったく、何から何まで…
「ソレ…計算?」
「へ!何が?」
「なんでもない」
「ふーん…、変なの」
そう言ってから「温め直す」と付け足して自分のと俺の皿を電子レンジに持っていくジュンをなんとなく眺めて
そういえば…
オヤジとの会話に気になる言葉があって尋ねてみる事にした。
「ねぇ、週末からドッカ行くわけ?」
「ぇ、あぁ…うん。」
少し歯切れの悪い返事に不安みたいな何かを感じた。
「ドコ?」
預けるとか言うくらいだから誰か知り合いのウチなんだろうケド
宿泊するとなると、それなりに仲の良い間柄なのだろうか…