JUNKETU ~首筋にkissの花~
「血、止まった?」


リビングのソファーの背もたれから見えるジュンの後頭部に話しかけるも返事はかえってこない。


耳をすませば、スースーと規則正しい呼吸音が聞こえた。


スースー…
…スースー…



無防備この上ない寝顔をして首をうなだれる姿勢で眠っている。



「ん…ぅ…」



ポテンと身体ごと倒れそうなのを慌てて支えると小さな口が少しだけ開く。


コイツは…
今襲われても文句言えねぇっつーの



襟元からチラッ除く白い肌。
湯上がりの香りは今の自分と同じ香りだ。
僅かに香る甘い香りはマスカットのモノだろうか…



キス…くらいは許されるだろうか?


そっと頬に手のひらを添えてどう見ても誘っている半開きの唇にそっと自分のを近づけてみた…



イヤイヤイヤ…

寝込み襲うなんてドウなんだ!ってか、キスなんて大した事じゃねぇじゃんか!

でも、でも別にキスくらい…



ってか…俺はこんなにもヘタレだったか?


来るもの拒まず、だったハズなのに




葛藤する俺を横に相も変わらずジュンはスースーと寝息を発てている。



青臭いっ…
なんてガキ臭いのだろう

初恋じゃあるまいしっ!




初々しい恋。


それこそ青臭いな…



そのまま、瞼を落とした俺はジュンの頬に影を落とす程に長く整った睫毛に自分のソレを重ねた。



《バタフライキス》




身体を重ねるより、
互いの唇を重ねるより、

吐息を感じる距離に

だけど
体温を感じる距離ではない距離だ



初めてキスしたのはイツだろう…

初めて快感を貪ったのは…

初めてショクジしたのは…


いったいイツの事だっただろう?



それなり以上の経験値を重ねたのに、何故こんなにも心臓が早鐘を打つのだろうか?



ジュンが起きてなくて良かった…


きっと今の俺はありえない程に真っ赤になっているだろうから







< 44 / 45 >

この作品をシェア

pagetop